大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)12579号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によれば、原告は昭和四二年一一月二九日から東京警察病院で頸椎捻挫の治療をしていることが認められる。そこで本件事故と原告の頸椎捻挫との相当因果関係について判断する。

<証拠>によれば、本件事故の際、原告の左肩が加害車に接触し、更にその反動で左腕が加害車に衝突したことが認められるが、首に衝撃を受けたことは認められず、<証拠>によれば、腕の衝突によつて頸椎捻挫が生ずることは一般的には考えられないことであるし、頸椎捻挫の症状も衝撃後遅くとも一週間以内に現われるものであることが認められるところ、<証拠>によれば、事故翌日の昭和四二年七月二五日の診断では、原告の傷害は左肩関節部、左前腕挫傷であり、原告はそれ以外の箇所の痛みは訴えておらず、その後昭和四二年八月三一日までの診断過程において頸椎捻挫を疑うような所見はなく、八月三一日には原告は全然痛みはない旨医師に述べていることが認められ、以上の諸事実によれば、本件事故と頸椎捻挫との因果関係は認め難い。これに対して、<証拠>によれば、東京警察病院では原告の頸椎捻挫と本件事故との間に因果関係ありと診断していることが認められるが、<証拠>によれば、同病院における原告の初診は事故後四ケ月以上を経過した昭和四二年一一月二九日であり、頸部のエックス線所見は正常であり、頸椎捻挫の原因となり得る左肩の骨片のエックス線に現われた異常陰影についても、個人差はあるが原則的には三ケ月以上前の衝撃によるものとは考えられないものであることが認められ、しかも本件事故と頸椎捻挫との因果関係を肯定したのは主として原告の主訴を参考としたものであるが、原告が同病院へ来る以前に他の病院でいかなる診断を受けたかについては、同証人は昭和四五年一月二九日の証拠調期日に初めて知つたことが認められる。したがつて、前記諸事実に照らすと、東京警察病院の因果関係を肯定する旨の診断には疑問があり、本件全証拠によつても、本件事故と原告の頸椎捻挫との因果関係は到底認められない。(篠田省二)

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